医院コラム

すれ違い咬合(こうごう)の、最良の治療方法

入れ歯が歯ぐきに当たって痛いです。もっと自由に食事をしたいです。」と、60代の男性Bさんが来院されました。お話を伺うと、入れ歯を使うようになって5年、今の入れ歯は2年前に作ったものだそうですが、「これまで1度も入れ歯がしっくり来たことがない」とのこと。お口の中を拝見すると、上あごは右奥歯3本と左の2本、下あごは左右の奥歯が3本ずつ失われており、前歯を中心に歯が残っている状態でした。

レントゲン写真

これは、上の残っている歯と下の残っている歯がうまく噛み合わない「すれ違い咬合(こうごう)」と呼ばれる非常に難しい状態です。一般的な「バネで固定する入れ歯」ですと、噛むたびに上の歯が下の入れ歯を押し下げ、下の歯が上の入れ歯を突き上げてしまうため、どうしても入れ歯が動いて歯ぐきに痛みが出てしまいます。

そこで私は、Bさんの10年、20年先を見据えて、次のような治療計画をご提案しました。

  • 上あご:
    残っている歯を活かして、しっかり固定でき見た目もすっきりする「マグネット式入れ歯」
  • 下あご:
    左右の奥歯があった場所に合計4本の「インプラント」を埋入し、天然歯に近い歯の状態を取り戻す方法
  • 治療期間:
    計画的にお口全体を整えるため、約1年の期間を要すること
  • アフターケア:
    噛む力が非常に強く、歯ぎしりや食いしばりの傾向も見られたため、治療後は大切な歯やインプラントを保護する「マウスピース(ナイトガード)」を着用いただくこと

Bさんはじっくりと考えてくださり、「上はマグネット式入れ歯、下はインプラントでお願いします。」と同意してくださいました。

治療前後

約1年後、すべての治療が終わった日、「期間は長かったですが、何でも食べられることができて、とても幸せです。」と、笑顔で言ってくださいました。長期に渡る治療に、当院を信頼して最後まで通ってくださったBさんには、感謝の気持ちでいっぱいです。

人生100年時代。思いっきり笑い、何でもおいしく食べられることは、健康で長生きするための秘訣です。入れ歯が合わなくてお困りの方、歯を失って不自由を感じている方、どんな小さなお悩みでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。

(なしき歯科医院新聞 2026年7月号より)

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