医院コラム

保険の白い歯と、オールセラミックの違いって?

治療前後「冷たいものを飲食すると、右上の歯がすごくしみるんです」と来院されたSさん(50代男性)。レントゲンで確認すると、一番奥の歯(第一大臼歯)に大きな虫歯が見つかりました。虫歯が神経や血管(歯髄)まで進行していたため、歯の中をきれいにする“根管治療”が必要でした。

治療後は、歯の大部分が失われるため、まず「土台(コア)」を入れ、その上に「被せ物(クラウン)」をする必要があります。被せ物にはいくつかの選択肢があります:

●保険の銀歯(メタルクラウン)

  • ・金属を使うため、金属アレルギーのリスクがあります。
  • ・長年使うと、金属が溶け出して歯ぐきが黒ずむことも。
  • ・細菌が付きやすく、歯周病や虫歯が再発する可能性が高い。
  • ・金属の土台が歯と比べて硬すぎるため、歯の根が割れやすくなります。

●保険の白い歯(プラスチック製クラウン)

  • ・見た目は白いが、割れやすく、すり減ったり変色したりします。
  • ・銀歯と同様、細菌が付きやすく、歯の根が割れるリスクもあります。

●保険外のオールセラミック冠(メタルフリークラウン)

  • ・金属を使わないので金属アレルギーや歯ぐきが黒ずむ心配がありません。
  • ・細菌が付きにくく、歯周病や虫歯の再発リスクがとても低いです。
  • ・すり減りや変色もほとんどなく、美しさが長持ちします。
  • ・土台も「ファイバーコア」という自然の歯に近い弾力の素材を使うため、歯の根が割れるリスクが低いです。

S さんは、将来のことも考え、オールセラミック冠を選ばれました。
よく「とりあえず白ければいい」という理由で保険のプラスチック冠を選び、「割れたり変色したら取り換えればいい」と言われる方もいます。ですが、そう単純な話でもなく、治療のたびに歯を削る必要があり、どんどん薄くなってしまいます。最終的には歯の根が割れ、抜歯に至ることもあります。

だからこそ、一度治療した歯をもう二度と治療しなくて済むように、
「ていねいな根管治療、ファイバーコアの土台、オールセラミック冠、そして定期検診」
この4つを大切にしてほしいと思っています。

人生 100 年時代。歯を失ったときの最良の選択肢に「インプラント」はありますが、それでもやはりもともとの自分の歯にはかないません。ずっと自分の歯で、おいしく食べ、心から笑えることが、健康で長生きする秘訣の一つだと思います。お口のことでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください!

(なしき歯科医院新聞 2025年6月号より)

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