医院コラム

おすすめの小説 By斉藤

こんにちは。衛生士の斉藤です。今回は、私のおすすめの小説を2冊ご紹介します。

おすすめの小説1冊目は、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』です。
2016年に芥川賞を受賞した作品で、私もその話題をきっかけに読みました。主人公の古倉恵子は、コンビニで働く36歳の女性。恋愛経験もなく、大学時代からのアルバイトを18年間続けています。家族や周囲からは心配されたり距離を置かれたりしますが、本人はコンビニで働く毎日に安心感を覚えています。でも「普通」を演じ続けることに疲れを感じ始めた頃、ちょっと訳ありな元バイト仲間と同居することになり…というお話です。

読んでいて、「自分では幸せでも、他人から“かわいそう”と言われると、そうなのかな…と思ってしまう気持ち」ってあるよなぁと、しみじみ感じました。

2冊目は、江國香織さんの『きらきらひかる』です。
主人公の笑子は、お医者さんの睦月と結婚していますが、睦月には男性の恋人がいます。ふたりの結婚は、世間体を保つためのものでした。笑子と睦月、そして恋人の紺との関係性が少しずつ変化していく様子が静かに描かれています。

江國さんの文章はとても美しく、読んでいて心がすっと落ち着きます。1991年の作品なので、令和の今よりも同性愛者への目線が少し厳しく描かれている場面もありますが、登場人物の心の機微や関係性には、今とあまり変わらない部分も感じられました。

どちらの作品も長すぎず、読みやすいので、小説がちょっと苦手…という方にもおすすめです。よかったらぜひ読んでみてくださいね。

(なしき歯科医院新聞 2025年5月号より)

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