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部分入れ歯からマグネット式総入れ歯へ
「左上の犬歯がグラグラして痛いんです」と、Hさん(50代女性)が6年ぶりに来院されました。お口全体のレントゲンを撮り、詳しく診てみると、歯周病がかなり進行しており、上顎3本の歯は残すことが難しく、抜歯が必要な状態でした。
治療について、Hさんとじっくりお話ししました。治療の流れとしては、
- 残すことができない3本の歯は、抜歯する
- 残っている歯の歯周病治療を徹底的に行う
- 上顎の歯は6本保存可能
- その後、入れ歯を入れる
となります。そして最終的なゴールは、「おいしく食事ができて、見た目も自然なお口元を取り戻すこと」。Hさんには、そのために最適な方法として「マグネット式総入れ歯」をご提案しました。
従来の部分入れ歯は、歯がない部分の力を周りの歯で支えるため、どうしてもその歯に負担がかかり、将来的に歯を失いやすくなります。1本、また1本と歯を失い、最終的には総入れ歯に移行するケースが少なくありません。
そこで私たちは、残っている歯を有効活用しながら負担を軽減できる「マグネット式総入れ歯」をご提案しました。これは、入れ歯の中に組み込まれた磁石と、残っている歯に取り付けた金属が磁力でピタッとくっつく仕組みです。ガタつきがなく、しっかり噛めて、お手入れも簡単。そして、もともとの歯並びの見た目を整えることもできる優れた方法です。Hさんはこの説明に納得され、「マグネット式入れ歯でお願いします」とご決断されました。
その後、約1年にわたる計画的なステップを踏んで治療を進めました。仮の入れ歯で見た目や使い心地を調整しながら、最終的な新しい入れ歯をお作りしました。Hさんはすっかり入れ歯に慣れ、表情も明るく、口元にも自信が持てるようになったご様子でした。
人生100年時代。「歯が抜けるたびに部分入れ歯を作り変え、最終的に総入れ歯になる」という流れをたどるのか、「歯が少なくなってきた今こそ、マグネット義歯という選択で、これからの人生をもっと楽しく快適に過ごす」のか、ご自身の選択です。
「おいしく食べる」という楽しみを取り戻し、お口元に自信が持てたり、旅行や外食など、人生を楽しむお手伝いができることが私たちの幸せです。「ちょっと話を聞いてみる」というだけでも構いません。どうぞお気軽にご質問、ご相談、お待ちしています!
(なしき歯科医院新聞 2025年5月号より)