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骨粗しょう症のお薬と歯の治療
20年ほど前、ニュースで「骨粗しょう症の薬を服用している方が、歯科で抜歯などをした後、顎骨の壊死や顎骨の骨髄炎を起こしたケースがある」と報道されました。以来当院では、安全のため、骨粗しょう症のお薬を服用している方の治療には充分注意し、抜歯が必要な場合は、口腔外科専門医がいる総合病院(五稜郭病院、中央病院、国立病院、市立病院 etc.)をご紹介しています。
さて、この「骨粗しょう症」、一体どんな病気なのでしょうか?ご存知の方も多いと思いますが、骨粗しょう症は、骨密度が低下して骨がスカスカになり、「少し重いものを持った」「尻もちをついた」というようなことで骨折しやすくなる病気です。骨折は「生命に関わることはない」と思われがちですが60歳以上の骨粗しょう症の方が「脊椎椎体の骨折」や「大腿骨付近を骨折」すると、一般の方と比べて死亡リスクが10倍以上になることが明らかになっています。
骨折自体は手術などで治療できても、入院・安静で低下した筋力は元に戻りにくく、さらに反対側の足も骨折を起こすリスクが高くなります。要介護状態になってしまうと、寿命が短くなる可能性もあります。高齢者の骨折は無症状(!)の場合もあり、気付かなかったり、痛みが弱いと「大したことない」と無理をしたり、他の部位に負荷がかかってさらなる骨折を引き起こしやすくなります。また、意外なことに、骨折が原因で、逆流性食道炎や腹部の膨満感、便秘、息切れなど、一見骨折と関係のなさそうな症状が出ることもあります。
骨粗しょう症と診断されたら、ただ骨を強くするためではなく、「長生きのための薬」と思って、きちんとお薬を飲んでください。また、お薬を飲み始める前に、歯の治療は済ませておいた方が安心です。(歯周病や歯の根の先端の炎症でも、顎骨壊死や顎骨の骨髄炎が起きることがあります。)また、もし骨粗しょう症のお薬を飲み始めた後に抜歯などが必要になった時は、「放置」ではなく、専門的な設備と体制が整っている医療機関で治療を受けてください。当院からもご紹介できますので、お気軽にご相談いただければと思います。口腔内を健口に保ち、骨粗しょう症の治療をきちんとし、健康長寿を目指しましょう!
歯を治すことで患者さんが口元に自信をもって下さり、積極的に行動し、人生を楽しむお手伝いをすることが私の使命です。お口の中に気になるところがある方、歯を失い困っている方、入れ歯が合わなくてうまく食事出来ない方、口元をきれいにしたい方、お気軽にご相談ください。
(なしき歯科医院新聞 2024年9月号より)