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人生100年時代、健康長寿の大切な要因
「健康長寿の要因を探索すること」を目的にした、文理融合型の疫学研究*があります。対象は、70代約1200名、80代約1200名、90歳以上約900名という大規模なもので、それによると、歯を失った時にきちんと歯を入れた人は、放置している人より生活習慣病を予防する野菜類を多く摂取しており、結果的に、脳血管障害・心疾患・悪性新生物などの予防につながっていることが示唆されました。歯を失ったらできるだけ早く歯を入れることは、健康長寿への一つの要因になっていると考えられます。
1年ほど前、「上の左右の奥歯がないので、しっかり咬めるように歯を入れたい。」と、70代男性のTさんが来院されました。お口の中を診ますと、左右とも奥歯が2本ずつなく、奥歯で噛むことができない状態でした。治療法についてTさんと相談したところ、自分の歯と同じように噛むことができるインプラント治療を希望されました。
CT撮影で骨の状態を詳しく分析してみると、骨の厚みが全く足りず、インプラントを埋入できないことがわかりました。インプラントを入れるためには、まず骨造成(骨を作る治療。骨ができるまで約7ヵ月待ちます)を行い、骨が出来たことを確認してからインプラントを埋入、インプラントが骨に定着してから(約6ヵ月)最終的な被せ物を入れます。Tさんは、「時間がかかっても奥歯でしっかり食事ができるようになりたい。」と、治療に同意してくださいました。骨造成後、上下のかみ合わせの関係で、インプラントは左右1本ずつで十分に機能すると判断し、インプラントを埋入しました。
治療後、「丁寧にやっていただき、ありがとうございます。今まで上と下の歯が合ってなく、硬いものが食べづらかったのですが、これからは大好きなジンギスカンを安心して頂きます。」と、とても喜んでくださいました。1年がかりの治療でしたが、本当にやって良かったと思いました。
「歯が良くなることで患者さんがお口に自信をもって下さり、もっと健康で、もっと楽しく積極的に人生を送れるお手伝いをすること」が私の使命です。あなたにとって最良の治療法がきっと見つかります。
歯を失って困っている方、入れ歯がどうしても使うことができず、歯がないまま放置している方、入れ歯が良く噛めず我慢して使っている方、お口にお困りごとがある方、どうぞお気軽にご相談ください!
*2010年から現在も継続中:大阪大学大学院人間科学研究科と東京都健康長寿医療センター研究所、大阪大学大学院医学系研究科、慶応義塾大学医学部、大阪大学大学院歯学研究科、東京大学医学系研究科の研究者ら
(なしき歯科医院新聞 2023年11月号より)