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噛む力(咬合力)が強い方へのインプラント治療
「上顎に入れたブリッジが何度も取れて困っています。もっと良い方法はありませんか?」と、Tさん(50歳代男性)が初診で来院されました。お口の中を診ますと、上顎の奥歯が左右とも全て抜けており、残っているのは前歯4本。そこにブリッジを着けて、歯をかろうじて繋いでいる状態でした。部分入れ歯を試したこともあるそうですが、「ゲーゲー」と吐き気をもよおす(嘔吐反射)ので、どうしても使うことができなかったそうです。
なぜ、ブリッジが取れやすかったり、そもそも歯を失ってしまったのでしょうか?この方の場合は、次のような原因が考えられました。
① 奥歯がないため、前歯とブリッジに負担がかり取れやすくなっている。
② 残っている4本で全ての噛む力を負担しているので、歯の根に大きな負担がかかっている。
③ 咬合力(噛む力)がかなり強いので、食いしばりの癖などで歯の根が割れてしまった。
…ということが想像できました。
レントゲンを撮って精査したところ、上顎に4本残っている歯のうち1本は、すでに歯の根が割れていました。右の写真のように、破折箇所の歯ぐきも大きく腫れています。このままブリッジを使い続けると、他の3本も近い将来、同じようになってしまうと考えられます。
患者のTさんに現状をお話しし、治療法をご説明しました。一つ目は、割れた歯は抜歯し、残っている3本を利用して『マグネット式入れ歯』にする方法。もう一つは、噛み合わせの力を均等にするため、上顎全体をインプラントにする方法です。Tさんは入れ歯はやはり嘔吐反射が不安とのことで、インプラント治療を希望されました。
治療後、歯並びもきれいに整い、歯ぐきの腫れも引いて健康的になりました。Tさんは咬合力が強いので、インプラントと下顎の天然歯を護るために、就寝中と仕事中にマウスピースを使用していただいています。
「歯が良くなることで患者さんがお口に自信をもって下さり、もっと健康で、もっと楽しく積極的に人生を送れるお手伝いをすること」が私の使命です。あなたにとって最良の治療法がきっと見つかります。歯を失って困っている方、入れ歯がどうしても合わない方、お口にお困りごとがある方、どうぞお気軽にご相談ください!
(なしき歯科医院新聞 2023年9月号より)